鬼のような一手

「これは目の覚めるというか、ただにも見えますが。74角と歩の頭に角が飛び出しました。名人は同歩と取るでしょうか。そして、もしもうっかりだったら、同歩に対しては投了の一手でしょうか? 先生」


「何をおっしゃる。そんなわけないじゃないですか。田辺さん」


「えへへ。そうですね。当然それを見越した上での一手ということですね。大変失礼いたしました。どんな切り返しが用意されているのでしょう」


「わかりません。私にはさっぱりわかりません。ははは」


「えー、この後も、引き続き名人戦をお楽しみください」